風の便り Blog
SBI Robo Staff's Blog
シンクタンク・ソフィアバンク代表、社会起業家フォーラム代表、
多摩大学大学院教授に加えSBIホールディングス取締役も兼任されている
田坂広志さんのメールマガジンを、
許可を得て、弊社WebSiteに転載しております。
風の便り - SBI Robo
田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第70便 山を越える修行僧
仏道の修行をする師と弟子が、
二人で旅をしていました。
その旅の途上で、川に差し掛かったところ、
若い女性が、川の前で立ち往生をしていました。
着物の裾をあげ、歩いて川を渡ろうとしたのですが、
流れが急で、渡れなかったのです。
それを見た弟子は、
若い女性に心を惑わされてはならぬと
一人で川を渡ろうとしましたが、
師は、黙って歩み寄ると、
その肌も露な女性を肩に担ぎ、
川を渡しました。
女性の礼の言葉を背に、
二人の修行僧は、
その先にある山道を登り始めました。
その道を登り終え、坂道を下り、
その山を越えたところで、
思い余った弟子が、耐え切れず、
師に言いました。
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田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第68便 玄人の「素人らしさ」
玄人の「素人らしさ」
プロフェッショナルとは何か。
そのことを考えさせるエピソードがあります。
ある自治体選挙でのことです。
二人の候補者が争う選挙において、
両陣営の選挙自動車が街中を走りまわり、
住民に対して支持を呼びかけています。
その選挙戦のさなか、ある選挙事務所の前を、
味方の陣営の選挙自動車が、支持を訴えながら、
通り過ぎていきました。
その呼びかけを行う運動員は、
語りのプロフェッショナルらしく、
よく通る声と流暢な話し振りで支持を訴えていました。
しかし、それを聞いた事務所の選挙参謀が、
表情を曇らせ、呟きました。
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田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第67便 「存在」から「生成」へ
「存在」から「生成」へ
ノーベル賞科学者、イリヤ・プリゴジン博士の著書に、
『 From Being to Becoming 』という書があります。
『存在から生成へ』と訳されるこの書は、
一つの深遠な問いに対する答えを求め
書かれたものです。
この宇宙137億年の歴史を振り返るならば、
宇宙創世とともに誕生した物質は、
ただ「存在」しただけでなく、
100億年以上の時間をかけて、
物質から生命が「生成」し、
生命から精神が「生成」してきた。
では、なぜ、物質は、
ただ「存在」( Being )し続けるだけでなく、
その中から、生命や精神というものが
「生成」( Becoming )するのか。
その深遠な問いに対する答えを求めて書かれたのが、
この『 From Being to Becoming 』という書です。
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田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第65便 本当の「商品」
本当の「商品」
若き日に、優れた上司から、
大切なことを学びました。
ある調査会社が、その上司に、仕事を求めてきたのです。
そこで、その会社の部長と担当者に会うことになりました。
しかし、先方との会合が始まっても、私の上司は、
その部長と雑談をするだけで、本題に入りません。
相手も、その雑談に、快く相づちを打つだけです。
そして、若い担当者は、黙って側に控えているだけです。
しかし、その担当者には、なぜか、眼光の鋭さを感じます。
妙な存在感があるのです。
そのうち、予定していた時間が過ぎました。
すると、上司は、
その雑談だけで、会合を終えたのです。
しかし、先方を見送って部屋に戻るとき、
その上司は私に言いました。
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田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第64便 21世紀の「地球観」
21世紀の「地球観」
かつて、ローマクラブという世界的なシンクタンクが、
『成長の限界』という報告書を発表しました。
人類が現在のような経済成長を続けていくと、
数十年以内に、人口爆発、食糧危機、資源枯渇、エネルギー不足、
そして環境汚染という五つの深刻な問題に直面し、
「成長の限界」に達する。
この報告書が述べたのは、その未来予測でした。
この予測を行ったのは、
米国マサチューセッツ工科大学のメドウズ教授。
そして、この研究において用いられたのは、
地球というものを「巨大な容器」とみなす、
シミュレーション・モデルでした。
一方、「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」と呼ばれた
バックミンスター・フラー。
彼は、『宇宙船地球号操縦マニュアル』という書を著し、
この地球という惑星を、一つの宇宙船とみなし、
人類がその宇宙船を操縦していく方法を述べました。
その思想の根底にあったのは、
地球というものを「精緻な機械」とみなす考えでした。
しかし、さらに後、
NASAの科学者であったジェームズ・ラブロック。
彼は、その『地球生命圏』という著書において、
「ガイア思想」と呼ばれるものを提唱しました。
地球とは、一つの「大いなる生命体」である。
その思想です。
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田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第62便 「砂絵」の絶対矛盾
「砂絵」の絶対矛盾
チベット仏教に、砂絵曼荼羅というものがあります。
大切な儀式に際して、
仏教の僧侶たちが、
五色の砂を用い、七日間かけて、
極色彩の曼荼羅を描くのです。
この砂絵曼荼羅の儀式においては、
それを行う僧侶に、
超人的な集中力と忍耐力が求められます。
僧侶たちは、
驚異的な集中力と忍耐力によって、
一つ一つの砂粒に全身全霊を込め、
深い祈祷を捧げながら、
この砂絵曼荼羅を完成させていくのです。
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田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第61便 「未来」に書かれたもの
「未来」に書かれたもの
名作映画『アラビアのロレンス』の中で、
ピーター・オトゥール演じる、英雄ロレンスが、
アラビア人兵士の部隊を率い、
灼熱の砂漠を越えて進軍する場面があります。
このとき、兵士の一人が疲労困憊のために落馬し、
砂漠に一人取り残されてしまいます。
部隊が砂漠を渡り終わったとき、
そのことに気がついたロレンスは、
その兵士を助けに行こうと
自身も疲労困憊した体に鞭打って、
単身、灼熱の砂漠に引き返そうとします。
そのとき、アラビア人の兵士の一人が、
それを止めようと、言います。
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田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第55便 天が与えた本当の才能
天が与えた本当の才能
『未知との遭遇』や『E.T.』などの作品で知られる
映画界の巨匠、
スティーブン・スピルバーグ監督には、
新しい作品を創る前に、
かならず観る映画があります。
それは、彼が尊敬する
デビッド・リーン監督の作品、
『アラビアのロレンス』です。
1988年、
この『アラビアのロレンス』の完全版が制作されたとき、
その制作に関わったスピルバーグ監督は、
リーン監督とともに、その試写を観ました。
そのとき、リーン監督は、スピルバーグ監督の隣に座り、
一つひとつのシーンについて、
その制作のエピソードを、詳しく話してくれたそうです。
この完全版の解説ビデオにおいて、
スピルバーグ監督は、
リーン監督の一人のファンとして、
そのときの感激と感動を、
実に嬉しそうに話していました。
巨匠と評される立場になっても、
そのことを少しも感じさせないスピルバーグ監督。
彼のその爽やかな笑顔を見ていると、
人々の心に火を灯す映画を創り続ける
この監督の本当の才能が、
何であったのかを知ります。
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田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第54便 「魔境」の入口
「魔境」の入口
将棋の羽生善治棋士が、
かつて、七冠を達成した直後のテレビ出演において、
ある若手哲学者と対談し、質問を受けました。
羽生さんは、対局中、
どのようなことを考えているのですか。
羽生棋士の、その質問に対する答えは、
静かな驚きを禁じえないものでした。
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田坂広志 「風の便り」 ふたたび 第45便 「師の一言」によって訪れるもの
「師の一言」によって訪れるもの
学生時代、スキーを習っていたときのことです。
急な斜面の滑り方を覚えるために、
若手のコーチについて教わっていたのですが、
なかなか滑れるようになりませんでした。
エッジの利かせ方、膝の屈伸、体重の抜重、
前傾姿勢、そして、ストックの使い方。
そうしたテクニックについて、その若手コーチは、
一つひとつ懇切丁寧に教えてくれます。
そして、それぞれのテクニックについては、
何度も練習し、身につけたはずなのですが、
急な斜面を滑ってみると、うまく滑れないのです。
そうして悪戦苦闘していると、
それを見ていた年配のコーチが、
一言、アドバイスをくれました。
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